【レビュー】「面接の教科書 これさえあれば。」を元・面接官が徹底的に読み込んでみた

(この記事は、2021年10月14日に更新しました。)
この記事では、元面接官の私が厳選した面接対策の本
「面接の教科書 これさえあれば。(TAC出版)」
の徹底レビューを紹介します。
良かった点と、残念に思った点を包み隠さずお伝えします。

 

  • おすすめの面接対策本が知りたい!
  • 面接対策の全体像が知りたい!
  • 効率的に面接対策を進めるために、QAの事例がたくさん見たい!

 

「面接の教科書 これさえあれば。」を元・面接官が徹底的に読み込んでみた

面接の教科書  

こちらが今回紹介する商品、「面接の教科書 これさえあれば。(TAC出版)」です。

<基本情報>

タイトル 面接の教科書 これさえあれば。
著者 坂本直文
出版社 TAC出版
価格 1000円(税別)
本の長さ 223ページ
発売日 2021年3月7日

 

良かった点

good

 

  • 他と比べて圧倒的に読みやすい
  • OK例/ NG例が紹介されているから理解しやすい
  • 「受け答え以外で高評価を得る重要場面チェックリスト」など、
    即活用できる情報が満載
  • 「よくある質問項目」が豊富
  • 業界別の質問リストが超便利
  • 安い

 

他と比べて圧倒的に読みやすい

面接対策のような「攻略本」は、とにもかくにも見やすさが第一!です。

たとえばゲームの攻略本が小説のように文字だけだったら、誰が買うでしょうか?
ただ、残念なことに面接対策の本は見やすい本が本当に少ない!のが現状です。

私は先日書店で、最新の面接対策本を30冊ほど手に取って比較しました。

その中で圧倒的に見やすかったのがこの本です。

  • 文字の色や大きさなど、見やすさへの配慮
  • OK例、NG例、チェックリストなどを使った重要情報の強調と見える化
  • 筆者からのメッセージ

こういったポイントが非常にシンプルに分かりやすくまとまっていて、
必要な情報がサッと手に入ります。

 

OK例/ NG例がふんだんに紹介されているから理解しやすい

質問項目に対するOK例とNG例がふんだんに紹介されています。

もちろん、OK例をそのままコピペすればいいわけではありませんが、

  • OK例とNG例の違いは何か?
  • 自分だったらどのように言い替えられるか?

を考えるヒントとして、これ以上役に立つ事例集は存在しないでしょう。

 

「受け答え以外で高評価を得る重要場面チェックリスト」など、即活用できる情報が満載

この本には多数のチェックリストなど、即活用できる情報が多数紹介されています。

一例を幾つか紹介します。

  • 受け答え以外で高評価を得る重要場面チェックリスト
  • 面接の身だしなみチェックリスト
  • 面接マナーチェックシート
  • 一次面接突破の重要ポイント

これらを活用することで、非常に効率よく面接の準備が進められるでしょう。

 

「よくある質問項目」が豊富

志望動機や将来のキャリアのことなど、よくある質問項目が19個紹介されています。

それぞれの質問に対して、NG回答例、OK回答例が載っているだけでなく、
面接官のホンネ!として、「質問の意図」が分かりやすく紹介されています。

 

業界別の質問リストが超便利

面接対策の基本は業種によらず変わりませんが、業種によって力を入れている部分や応募者に期待していることは違いますので、ツボを押さえた準備をすることで合格率が違ってきます。

この本では、マスコミ、銀行、商社、化粧品、食品、保険、航空、旅行の計8種の業界の傾向と対策がまとめられています。

複数の業界の面接を受けようと思っている方には、非常に頼もしい相棒となるでしょう。

 

安い

面接対策の専門書で税別1000円で買えるものは希少です。

ほとんどの類似本は1500円前後します。

内容の充実度、見やすさ、使いやすさの観点で総合的に考えると、
この本のコスパは控え目に言って最強です。

「価格設定を間違ったんじゃないだろうか?」と心配になるほどです。

参考まで、コチラの類似本は約1500円です。


 

残念に思った点

bad_upset
 
  • OK例に同意できないものがある
  • web面接にて「チャットボックスを使った強調方法」が紹介されている
  • 「興味のない業界で練習面接を」と勧めている
  • 面接時の絶対NG項目として「メモを取らないこと」が紹介されている
  • 「航空業界が人気高い」とある
  • 「面接官の「正直言って」はひっかけだ」とある

 

OK例に同意できないものがある

この本には、各質問例の紹介と共に、OK例とNG例がたくさん紹介されています。

どんな回答をすべきか悩んでいる方には非常に参考になると思いますが、
OK例をそのまま使うのは避けるべきです。

最終面接(役員面接)での一例を挙げます。

質問:「当社の内定が出たら就職活動はやめますか?
OK回答:「やめます。今後は時間ができますので、入社までの間に勉強しておくとよいことがあれば、お教えください」

この回答は私の観点ではNGです。

なぜならば、他力本願に聞こえるから。

その企業を志望し、最終面接まで進んでおきながら、
「何を勉強したらよいのか分からないので教えてくれ」と言わんばかりのメッセージが
良い印象を与えるとは思えません。

私が考えるOK回答はコチラ▼

「はい、やめます。今後は御社で即戦力として働くために、
卒業まで〇〇を中心に勉強しておきたいと考えておりますが、
それ以外に何かおすすめのテーマがありましたら教えて頂けますでしょうか?」

このような「自分の意見」と「質問」を組み合わせた回答は非常に好意的に受け止められます。

 

web面接にてチャットボックスを使った強調方法が紹介されている

本の冒頭でweb面接(オンライン面接)の解説が載っているのですが、
その中で「チャットボックスを使って結論を視覚的に強調する」という解説がされています。

確かに、視覚的に伝えるために文字が有効なのは間違いありませんが、
私の経験上、web面接でチャットボックスはほぼ使いません。

使うシーンとしては、音声トラブルが発生し、
声が聞き取れないといった問題が発生したときの情報交換時くらいです。

常用するものではないと心得ておきましょう。

 

「興味のない業界で練習面接を」と勧めている

第一志望の企業の面接を後半にもってきて、
前半では練習のために複数の業界の面接を受けて”場慣れ”しておく、
というのは一見合理的な戦略のように思います。
でも、これはおすすめしません。
その理由は、
「志望していない業界や企業の面接を受けることが練習になるとは思えないから」
です。
そして、「面接する企業に対して、極めて失礼な行為」だからです。
面接の中で
「この業界に興味を持った理由は何ですか?」
と聞かれたらなんと答えられるでしょうか。
適当な答えを考えておくのでしょうか。それこそ無駄の極みですよね。
第五希望でも第十希望でも構いません。
自分自身が志望する理由を持っている企業」の面接を受けてください。

 

面接時の絶対NG項目として「メモを取らないこと」が紹介されている

「メモを取ること」というのは多くの場面で有効な手法です。

但し、面接の場では例外です。おすすめしません。

メモを取らないことがNGなんてことはありません。

面接は「応募者と面接官のコミュニケーションの場であって、
応募者が企業に適合するかを判断する場」
です。

この目的に照らし合わせると、
「メモを取る」という行為は単なる「応募者自身のための行為」でしかなく、
企業側にはメリットがありません。

メモを取っている間、面接官がただ黙って待っている場面を想像してみましょう。

なんとも微妙な空気ですよね。

もちろん、メモができるように紙とペンを用意しておくのは全く問題ありませんし、
面接のリズムを壊すことなくパッと書けるものがあれば書いて構いません。

冒頭でお互いに自己紹介する際に、面接官の名前をメモしておくのはオススメです!
私の経験上、名前を使ってコミュニケーションできる人は評価が高い傾向があります。

 

「航空業界が人気高い」とある

2020年以降、航空業界は未曾有の窮地に立たされていますよね。

多くの企業が存続をかけて知恵を振り絞っている状況です。

将来、人気が再燃する可能性は大いにありますが、
現時点で『人気が高い』とはとても言えません。

 

「面接官の『正直言って』はひっかけだ」とある

「正直言って」という言葉は、正直に言いたいから言うものであって、
ひっかけ目的で使用する言葉ではありません。

少なくとも私の経験では、ひっかけ目的で使ったことは一度もありません。

もちろん、面接官によって考え方や行動パターンは違いますから、
ひっかけ目的で使用する人も中にはいるかもしれませんが、
最初から「ひっかけ目的」と邪推するのは絶対にやめて下さい。

面接官も応募者も、誠意を持って面接に臨むのが基本であり、そして最も重要なことなのです。

 

まとめ

summary

 

「面接の教科書 これさえあれば。(TAC出版)」の徹底レビューを紹介しました。

元面接官であるわたしの視点では共感しにくい部分もありましたが、
全体的に非常に読みやすく見やすい本に仕上がっていて、
「面接の教科書」という名前の通り、面接の全体像やコツを知るうえで非常に参考になります。

面接対策を効率的に進めたい方、どの本がいいか悩んでいる方はぜひ一度読んでみてください。
尚、この本は紙媒体のみで、Kindle版はありませんのでご注意下さい。

面接の教科書 これさえあれば
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